こんにちは。
料理人の石部具樹 (イシベトモキ) です。
2月になり寒さが一段と厳しくなってきましたね。
寒くなると無性に鍋料理が恋しくなりますのは日本人の性でしょうか。
鍋に生姜を擂って食べると身体が温まるから、と子供のころに生姜が効いた鍋をよく食べたものです。
それは生姜に含まれる "ショウガオール" という成分に内蔵を温める効果や血行促進といった効能があるからです。
またこのショウガオールは加熱すると増えることから、どうやらかの生姜鍋は理にかなっているようです。
日本でこそポピュラーな生姜ですが、フランスではあまり好まれない食べ物の1つです。
"gingembre"(ジャンジャーンブル) なんてフランス語では言いますが、
一般に食べられるようになったのはつい最近のことらしく、中華や日本食がパリで流行ったことで知られるようになり
今ではフランス料理のレストランでも使われるようになりました。
ではそんなフランス人は寒くなると何を食べているのか。といいますと難しいところではありますが
クリームやバター、チーズといった乳製品たっぷりの料理やジビエ料理といったところでしょうか。
スイスとの国境沿いのサヴォア地方の名物としてラクレットチーズやそば粉で作ったパスタ "クロゼ"のグラタン
などがあります。
山間の地域では夏に育てた家畜から乳を取ってチーズやバターに加工して保存し、
狩猟して得た動物もソーセージやベーコンに加工する、
という食文化の名残が今に繋がっているといわれています。
またどういうわけかフランスは日本に次ぐ世界第2位の長寿大国なんです。
乳製品たっぷり、肉や豆を多く食べる食文化が良いのかとも考えましたが、
何よりも食事を周りの人たちとゆっくりと楽しみながら食べるというのが
フランス人のルーティンといいましょうか、長生きの秘訣なのかもしれません。
私もフランスでしばらく仕事をしていましたが、本当に楽しそうに食事をしているように
感じました。
陽が昇った時間からグラスを片手に談笑する老人たち。
日暮れ時にセーヌ川の川岸に腰かけてサンドウィッチをかじる恋人たち。
そんな小説の世界のようなフランス人の日常を取り入れることはできないかもしれませんが、
純粋にそのひとときを楽しみ食事をするフランス人に日本人にはない温かみを感じました。
まだまだ寒い日が続きますが、皆さま良い冬をお過ごしください。
料理人 石部 具樹